2013年11月アーカイブ

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    「世界ロマ語の日」はクロアチア共和国のロマ人教育協会<カリ・サラ>の発案で、2009年11月5日にザグレブで初めて祝われた。11月5日という日は、2008年にヴェリコ・カイタジ編纂による最初のロマ語・クロアチア語辞書が刊行された日を記念して選ばれた。
    2009年11月5日の「世界ロマ語の日」創設にあたって、ロマ語に関する宣言が第一回ロマ語に関する国際シンポジウム(現在は毎年ザグレブで開催)に参加したすべての国の議会に向けての勧告として発布された。ロマ語に関する宣言と11月5日の「世界ロマ語の日」の制定は2008年にザグレブで行われた国際ロマ連盟(IRU)の第7回大会で承認され、連盟はこの日を世界中のロマの人々にとって重要な一日として祝うことを決めた。
     「世界ロマ語の日」には毎年ザグレブでロマ語に関する国際シンポジウムなどの文化的な催しが行われる。シンポジウムにはおよそ20カ国からロマ語研究者、言語学者、作家、ジャーナリストらが参加する。国際シンポジウムの目的はロマ語の標準化の基礎を築くことにある。これまでに取り上げられた議題にはロマ語の標準化と体系化、ITにおけるロマ語の使用、家庭内のロマ語の役割などがあるが、今年の中心テーマは教育機関におけるロマ語の導入である。
     ロマ語は未だ標準化されておらずおよそ60の方言に分かれているため、標準化と言語保全に関する更なる研究が待たれている。ロマ語の標準化は母語による教育面だけでなく、民族意識の維持という少数民族としての権利の実現のためにも重要である。さらにロマ語の使用は公的には認められておらず、日常生活のコミュニケーションに限られていることから、メディアや文化活動などの場面での使用もさらに促進されるべきである。こうしたことも「世界ロマ語の日」を祝うことの目的のひとつとなっている。
     クロアチア議会は「世界ロマ語の日」を支持する世界初の国会となった。推進役はヴェリコ・カイタジ議員で、すべての国会議員が支援したことにより、2012年5月25日、11月5日を「世界ロマ語の日」とする国際的な提案を支持する議決がなされた。
    「世界ロマ語の日」には毎年ザグレブでフェレンツ・シトイカとシャイプ・ユスフの業績を記念した賞が功労者に贈られる。フェレンツ・シトイカは19世紀の終わりに1万3千のロマ語の語彙を集めた最初の辞典を出版したロマ人の辞書編集者であり、マケドニア出身のシャイプ・ユスフはロマ語の最初の文法書の一つをまとめた同時代の人である。
     ロマ語はインド・ヨーロッパ語族のインド・イラン語派に属する言語で、ロマ語の単語にはインド起源が認められる。これによりロマがインドを故地とすることが確認されている。1971年4月にロンドンで開かれた第一回世界ロマ会議の席上romani chibと呼ばれる言語が公式のロマ語であると宣言された。ロマ語で書かれた最古の文献は1537年ロンドンで発行された。クロアチア語の隠語にはお金を意味するlovaなどいくつかのロマ語起源の語がある。
    (市橋雄二/2013.11.4)
  • 重い痛み〜「アヴィニョンのピエタ」

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    徳島県の鳴門にある大塚国際美術館に行く機会があり、評判の陶板名画を見てきた。6名の選定委員によって厳選された古代壁画から、世界25カ国、190余の美術館が所蔵する現代絵画まで西洋名画1000点が製陶の特殊技術によってオリジナル作品と同じ大きさに複製してある。オリジナル作品は環境汚染や地震、火災などから退色劣化を免れないものだが、陶板は2000年以上色と姿を留めるので、これからの文化財の記録保存のあり方にも貢献するとされている。
    過去、美術館各地で見たことのある名画の数々を堪能してきたが、一番、思いがけない出会いはルーブル博物館で強烈な印象を得た、アンゲラン・カルトの「アヴィニョンのピエタ」 だった。絵画に関しては、全くの素人で、審美眼にも自信はないが、おびただしい名画を数日間鑑賞して、圧倒的な存在感を示したのが、この一枚だった。
    1450年頃にフランス北部の出身の画家でアヴィニョンで活躍しはじめたようだ。この絵画は長い間作者不詳とされてきたが、近年はガルトン作と認定されいるという。
    イタリア語で哀れみ・慈悲などを意味するピエタは聖母子像のうち、死んで十字架から降ろされたキリストを抱くマリアの彫刻や絵を意味するが、ミケランジェロの彫刻をはじめ多くの画家彫刻家が傑作を残している。
    この一枚に、なぜ、かくも引きつけられるのか分からない。絵画技術的にはもっと練達の画家がいたろうし、宗教的な感動に溢れた傑作も限りない。展示場の説明文を以下ののせる。
    「神なる母の祈る姿が金地中央に際立つピエタは死せる息子を抱いて悲嘆にくれる聖母という現実的な内容を持つ主題であるが、しかしここでは哀歌(1章、12節)による銘文が示すように、我々を救うために原罪を贖ったキリストのこの上ない苦しみを瞑想することをテーマにしている。弓なりに硬直するキリストの身体が重い痛みを沈黙の内に語りかけてくる。・・・」
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