フシに酔う〜華やか女性浪曲師、玉川奈々福・春野恵子

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    浪曲タイフーンvol.5と称する浪花節の会を見た。玉川奈々福が企画し、春野恵子とシリーズで開催してきたイベントだ。
    春野恵子は「電波少年」のケイコ先生などを経て2003年以降浪曲師の道に入った。最近はテレビなどのドキュメントでアメリカ公演の模様などは知っていたが、生の舞台を見たのは初めてだ。
      玉川奈々福は彼女が筑摩の編集者時代に縁があり、浪花節をやっていたのは知っていたが、舞台を見る機会がなかった。
    異色の経歴の二人が、面倒な理屈を飛び越えて、浪花節に心酔している様子が気持ちよく伝わる会であり、これほど華やいだ空気に包まれた浪花節が存在することに正直びっくり。
    二人とも華があり、舞台映えがするのが強い。一部のバラエティでは浪曲漫才風な掛け合い。奈々福の三味線が効果的に客を盛り上げる。明晰さとユーモアに富んだやり取りは楽しく、テンポ良い疾走感が心地よい。
    2部はそれぞれ持ちネタを20数分ずつ演じた。春野の明るい芸風、奈々福の節回し、身振りの決まる心地よさなどなどフシの魅力に時間を忘れたのである。特に玉川奈々福の充実ぶり、芸人としての存在感、三味線の腕前が強い印象に残った。そして奈々福の曲師・沢村豊子の練達の三味線、特に音色の美しさにも聞き惚れた。
    フシの魅力とは、人の感情に直に訴えてくる力で、理屈を越えて心に届く。そこに身を委ねる快感が浪花節の醍醐味だ。
    いつからか浪曲が芸能史上の過去の遺物扱いされだして、マスメディアに乗りづらくなっているが、フシと啖呵と三味線で物語を紡いでいく浪花節は日本芸能史・語り芸のメインストリームから外せないばかりでなく、現在のお笑いテレビ芸、演歌歌謡曲などに多大な影響を与えてきた語り芸で、日本人の意識の襞に今なお脈々として流れている血液みたいなものである。
    こうした浪花節の魅力を知らしめんと励んでいる彼女たち、浪曲師を心から支持する。これからも見続けていきたい。2014年9月20日亀戸カメリアホールにて。
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    このページは、gypsy-trailsが2014年9月24日 10:19に書いたブログ記事です。

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