■オーディオレポート

 
 <本ページにある動画ファイル(wmv)をmacで再生される方はフリーソフトVLCメディアプレーヤーをご利用ください。>

button126.gif制作ニュース。(2007.5.07)CD「ジプシーのうたを求めて~沙漠に生きる漂泊の芸人たち(インド・ラージャスターン州)第2集」(62分)が完成 詳細はこちらへ

  • 怒族のキリスト教会賛美歌と掛け合い歌<怒江情歌>(雲南省西北最深部)
  • インド:門付け・漂泊芸
  • アルメニアのジプシー(ボーシャ)のうた
  • マケドニアのジプシー・バンド、少年大道芸
  • トルコのジプシー(チンゲネ)・ミュージック

    ■怒(ヌー)族キリスト教会賛美歌と掛け合い歌<怒江情歌>(雲南省西北最深部)

    1.怒族老母登村キリスト教会の賛美歌wmp[1].gifsanbika.wma

    smallitihasi.jpg

    老姆登(ラオムートン/ラムトゥン)教会では折しも日曜日のミサが行われていた。教会の扉を開けると正面の壇上で説教する牧師の声がこだまし、長いすに腰掛けた村人たちが静かに聞き入っていた。その姿に日常の暮らしの中にしっかりと根付いた信仰を見る思いがした。教会の外では赤ん坊をあやす若夫婦やおしゃべりをする女性たちがくつろいでいた。教会内のビデオ撮影の許可を求めると、正面に向かって右側の長いすが男性、左側が女性なのでそこだけ気をつけるように、それ以外は自由に振舞ってもよいという。キリスト教を通じて外国を含む外界との交流の歴史が長いことはもとより、近年観光ルートの一つとして来訪者も増えており、村人たちは外来の人間に比較的オープンである。説教が終わると信者たちは起立をして牧師に続いて賛美歌を歌い始めた。文字を持たない怒族の人々はローマ字表記のリス語(怒江地域の多数派民族リス族のことば)で印刷された聖書、賛美歌集を使用していた。(2007年12月30日、雲南省怒江リス族自治州福貢県匹河郷にて収録) (解説・録音 市橋雄二 以下同様))

    2.怒族の掛け合い歌<怒江情歌>wmp[1].gifnu-taika.wma

    smallhataoriusiro.jpg

    怒江に沿って走る省級道路の最北端の町、貢山(コンシャン)。峡谷の谷間にできたわずかな平地に建物がびっしりと並ぶ。長く狩猟を生業としてきた高地民族であるトールン族の行政上の中心地である。ここからさらに山道を北へ40キロほど行くとトールン族の村への入り口となる丙中洛(ピンチョンルー)に到着する。手付かずの自然に伝統的な民家や習俗が残る<最後の秘境>とも言うべきこの地域は、世界遺産「三江併流(金沙江(長江の上流)・瀾滄江(メコン川上流)・怒江(サルウィン川上流)が並んで流れる地域)」に指定されたこともあり道路の拡幅・補修などの観光開発が進められていて、携帯電話のアンテナはこの地にまで及んでいる。その丙中洛の入り口の土産物屋の女性が織物の実演販売をしながら、誰に聞かせるともなく歌を口ずさんでいた。<怒江情歌>という怒族の民謡で、かつては男女がこうした歌を掛け合うことで恋心を伝えた。日本の万葉時代の歌垣との関連が指摘されている。弓奏楽器で合いの手を入れているのはたまたま通りかかった貢山のタクシーの運転手。(2007年12月31日、雲南省怒江リス族自治州貢山独龍族怒族自治県丙中洛郷にて収録)

    ■インド:門付け・漂泊芸

    1.沙漠の漂泊芸能民ジョーギーの女たちのうた「モールー・バーイー」wmp[1].gifmo-ru.wma

    bi-ntoonnahp.jpg

    沙漠の村に嫁いできた娘モールー・バーイーが、親を心配させないように自分は自然の豊かなところに暮らしていると旅の者に伝言を頼む、という歌。ひょうたん楽器ビーンとともに女性5人が歌っている。2001年8月12日ジャイサルメール、カノイ村にて録音(楽曲解説・録音 市橋雄二 以下同様)

    2.音楽芸人マンガニヤールのうたと演奏「ニンブラー」wmp[1].gifninbura.wma

    ninburahp.jpg

    ニンブラーとはライムのこと。花嫁を熟れる前のライムにたとえて歌われる結婚式の祝い歌。マンガニヤールと呼ばれる宮廷楽士の末裔たちが、ハルモニウム(手こぎ式オルガン)、カルタール(二枚板のカスタネット)、ドーラク(低音と高音の両面太鼓)の伴奏で歌っている。2001年8月12日ジャイサルメール、カノイ村にて録音

    3.門付け絵解き芸人ボーパのうたと演奏wmp[1].gifbo-pa.wma

    bopahp.jpg

    ラージプート(ラージャスターンの戦士カースト)の英雄神バーブージーの武勇伝を絵解きで歌う専業芸人ボーパ。ラーヴァンハッターという独自の楽器の伴奏で歌い、踊る。2001年8月11日ラージャスターン州ジャイサルメール市郊外にて録音

    4.マンガニヤールの老人による弓奏楽器サーランギの独奏wmp[1].gifsarangi.wma

    sarangihp.jpg

    ドゥーンとよばれる軽い民謡曲の独奏。サーランギーは箱型の胴体を持つ弓奏楽器。あぐらをかいて楽器を縦に構えて演奏する。2001年 8月12日ラージャスターン州ジャイサルメール、カノイ村にて録音

    5.マンガニヤールによる弓奏楽器カマイーチャーのうたと合奏wmp[1].gifgo-rubando.wma

    kamahp.jpg

    円形の胴体を持つラージャスターン地方の伝統的な弓奏楽器カマーイチャーの弾き語り。曲はこの地方で有名な民謡「ゴールバンド」。ラクダの首飾りの意味で、出稼ぎに出かけた夫を想う歌。2001年8月16日ラージャスターン州ジャイサルメール、デーダンサール湖畔のヒンドゥー祠にて録音

    6.2名の大道芸人によるカマーイチャーのうたと演奏「ダマーダム・マスト・カランダル」wmp[1].gifdaidou.wma

    daidouhp.jpg

    パトワーン・キ・ハヴェーリーというかつての富豪商人の邸宅跡の観光名所で出会った流しの楽士二人。カマーイチャーを手にしていたので一曲演奏してもらった。曲は「ダマーマム・マスト・カランダル」というスィンド地方の歌。カッワーリーの巨匠ヌスラット・ファテ・アリ・カーンが歌って世界的に知られるようになった。2001年8月16日ジャイサルメール市内にて録音。

    ■アルメニアのジプシー(ボーシャ)のうた

    1.孫の誕生日にうたうwmp[1].gifsara.wma

    sarahp.jpg

    エレヴァン市内のボーシャの住む集落で出会ったサロ・ゲヴォルギャンさん(43)の招きでお孫さんの誕生日祝いの席に同席させてもらった。場所はエレヴァン市街から車で20分ほどのアシュタラクという町にある娘夫婦宅。遠くに行ってしまったわが子を想う親の気持ちを歌う。2002年8月20日アシュタラク市にて録音。

    ■マケドニアのジプシー・バンド、少年大道芸

    1.ジプシー・ブラス・バンドの演奏「マイ・ダーリン」wmp[1].gifmaida-rin.wma

    burasuhp.jpg

    マケドニア東部の町コチャニから婚礼の行進曲を演奏するために雇われて婚礼シーズンのシュト・オリザリにきていたブラス楽団のひとつ。セルビアとヨーロッパのポップスをベースにしたメロディーを演奏している。2006年8月10日スコピエ市シュト・オリザリ地区にて録音。

    2.ジプシー・バンド、ユジュニ・コヴァチ(南からのコヴァチ)の演奏、結婚祝宴でのメドレー曲から「イスタンブール万歳」wmp[1].gifisutanbu-ru.wma

     isutanbu-ruhp.jpg

    クラリネットを中心とするエレクトリック・バンド。シンセサイザー、シンセドラム、エレキギターを大型のPAシステムにつなぎ、大音量で婚礼の踊りを盛り上げる。曲はトルコの人気歌手セゼン・アクスの作によるもので、トルコでもチンゲネ(ジプシー)のミュージシャンらによってカバーされている。2006年8月10日スコピエ市、シュト・オリザリ地区にて録音

    3. 兄妹の大道芸人のうたと片面太鼓ダラブッカ演奏wmp[1].gifsyounenuta.wma

    syounenhp.jpg

    スコピエ市一番の繁華街であるストーン・ブリッジとツルゴフスキ・ショッピングセンターの間の一角で大道芸を演じていた。まだ年端もいかない兄と妹は日本で言えば小学生の低学年くらいだろうか。20デナリのバクシーシュを置いてきた。シュト・オリザリかトパアナか、スコピエのロマ居住区から稼ぎに来ているものと思われる。2006年8月12日スコピエ市内にて録音。

    ■トルコのジプシー(チンゲネ)・ミュージック

    1.ジプシー(チンゲネ)・バンド、ネシェリグループのうたと演奏「キュイル・ギュゼリ(美しい橋)」wmp[1].gifnesyeri.wma

     nesyerihp.jpg
     

    イスタンブールの旧市街クムカプ地区のレストラン街で流しの演奏をしているグループのひとつ。こうしたグループには特定の店と契約して専属になっているバンドも多い。編成はウットゥ(ウード)、カーヌーン(台形の薄い共鳴箱に弦を張り、爪をはめて弾く)、テフ(タンバリン)、ケマン(バイオリン)で、それぞれ歌もうたう。この曲はトルコの古い民謡だが、観光客のリクエストに応じて曲を演奏することもある。2006年8月13日イスタンブール市内にて録音。

     感想やご意見はメールをお送りください。
    (c)2007 Katsumori Ichikawa All rights reserved