マケドニアのローカルな音楽フェスティバル《ジェレム・ジェレム便り③》

■2008.11.16  マケドニアのローカルな音楽フェスティバル《ジェレム・ジェレム便り③》

○ジプシー・ブラスバンドといえば日本では映画にもなったルーマニアの<ファンファーレ・チョカルリア>や来日公演も多いマケドニアの<コチャニ・オルケスター>などが有名だが、彼らは氷山の一角にすぎず、現地には数多くのブラスバンドが存在する。
メールニュースによると、この10月13日、マケドニアの地方都市クマノヴォ市で “ROMA TRUBA FEST 2008″という音楽フェスティバルが開催された。クマノヴォは首都スコピエの北東に位置するロマ人口の多い町だ。私たちも2006年にスコピエから陸路夜行バスでイスタンブールに移動した際にブルガリア国境に向かう途中立ち寄ったが、石造りの家屋が立ち並ぶこじんまりした中世ヨーロッパ的な趣の町だった。
TRUBAとは、マケドニア語でトランペット系楽器を、広くは象徴的に金管楽器(ブラス)を指すものと思われる。したがって、イベント自体はロマ・ブラス音楽祭とでも訳すとわかりやすいかも知れない。ジプシー・ブラスバンドはチューバや各種ホルンも編成されるが、花形はソロで活躍するトランペッターで、そのトランペットもピストンバルブやロータリーバルブという構造上の違いによってバリエーションがある。いずれにしてもオスマン帝国時代の軍楽隊の放出楽器が起源だろう。それはちょうどジャズ・バンドがアメリカ南北戦争後に払い下げ楽器を使うところから始まったように。
今回のメールニュースを発信しているのは、このフェスティバルを主催したルスィト・シャキール・アンサンブルの団長サメット・サリエフスキー氏。この日はマケドニアのスコピエ、シュティプ、ストゥルミッツァなど4つの都市から集まった5つのブラスバンドが参加し、ゲストとしてグチャ・フェスティバル(セルビアの有名なブラス音楽祭)で優勝したセルビアのボヤン・リスティッチ楽団が招かれた。ソロ部門ではジャンボ・アグシェフが優勝し、オーケストラ部門ではスコピエの<ピチカート・オルケスター>が一等賞を獲得した。最優秀ソリストには金の冠が授与された。調べてみると、アグシェフ(ジャンボはあだ名)は、ヨーロッパでは名前の知られたミュージシャンのようだ。
町の広場で行われるローカル色たっぷりのフェスティバルは毎年行われているらしいが、きちんと審査をして賞を決め、金冠やトロフィーを授与するというこの催し。本当に音楽と踊り、そしてお祭りが好きな人々だ。そして思い出すのが、マケドニアの地元のロマテレビ局が運営するロマ映画祭やミス・ロマ・コンテストだ。賞を競うことも彼らの楽しみの一つに違いない。
(市橋雄二)

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