1938年チェコ東部の町ボスコヴィツェに生まれたクーデルカは、小さい頃から写真に興味を持ち、いちごを収穫してはそれを売って最初のカメラを買った。その後プラハに出て工科大学に進み、写真クラブに入った。
実はクーデルカは侵攻事件の前から漂泊の民にレンズを向けていた。航空技師として働いていた頃、1967年に写真展を開きジプシーの写真を22枚展示した。2011年のインタビューの中で、孤独を好み今はパリに住むクーデルカは、旅をしながらロマの人々と過ごした日々を懐かしんでこう語っている。
「ジプシーの連中は私のことを哀れんでさえいたよ。自分たちより貧しいやつだと思ってね。夜になると彼らは幌馬車の中に入り、私は夜空の下で野宿さ。」
(市橋雄二 / 2014.9.10)
※新作、未発表作品を含む最新写真集”Koudelka: Nationality Doubtful”が2014年7月、Art Institute of Chicagoより刊行された。今日世界で最も注目される写真家の一人クーデルカについては、近年日本でも次の写真展が開催されている。「ジョセフ・クーデルカ展」東京国立近代美術館(2013.11.6〜2014.1.13)、「ジョセフ・クーデルカ プラハ1968」東京都写真美術館(2011.5.14〜7.18)。