それほどこの映画の遠藤憲一ははまり役で圧倒的な存在感を出している。一時期の三船敏郎を思わせる圧倒的なオーラがある。彼が出たことによりこの映画の成功の9割は達成された。俳優の榮光とで言おうか。
探偵の矢能政男(遠藤憲一)は元、暴力団幹部。謎めいた小学2年の栞(白鳥玉季)を預かっており、彼女はお茶出しなどをする不思議な存在でだが、物語の重要な役割を暗示する。矢能は依頼される案件にも無愛想に対応し、横柄極まりない。やむなく引き受けた殺人事件に巻き込まれ、思わぬ方向へ展開する。殺された男は与党議員(要潤)か絡んだカンボジアの美談に絡んでいる。ここからの展開には説明不足や請求な展開が見られ、もたつき感がある。
しかしながら遠藤憲一の無計算のような一本調子の個性と雰囲気に引きずられるように見てしまう。この映画の不可思議な魅力であり、侮れないダイナミックなボルテージ感が最近の日本映画では出色である。
やがて栞が事件に巻き込まれると、矢能と栞の間に流れる控えめな情愛が画面に不思議な安らぎと安堵感をもたらし、それまでの殺伐な話から解放されるような気がする。監督がこの映画の重要な要素と考えているらしいテーマが浮かび上がってくる。
脇を固める俳優陣の存在感の多彩さも味わい深い。男優たちが人間臭く、いい味を出している。
監督はきうちかずひろ。マンガ「BE-BOP-HIGHSCHOOL」の作者であり、自作小説を自ら監督した。
ハードボイルド映画が最近あまり見られなくなったのを、残念に思っているひとりとして、矢能政男(遠藤憲一)と栞(白鳥玉季)の物語は第2作、第3作へとつなげていく価値がある鉱脈だろう。