映画「パラサイト 半地下の家族」〜疾走感!怒涛のラスト

 一家4人全員失業中のキム家族。日の光も乏しく、電波もままならぬ半地下生活。事業に何度も失敗する楽天的な父キム・ギテク。元ハンマー投げのメダリスト、妻チャン・へジン。大学受験に失敗し続ける長男ギウ。美大を目指すが上手くいかない娘ギジョン。内職で日々をしのぐ彼らの生活の半地下生活の有様の描写は生々しく、匂いまでが届くようだ。韓国社会の一つの断面。

 ギウはひょんなことからエリート大学生の友人に家庭教師の仕事を紹介される。身分を偽って訪れた先はパク社長一家の住む高台の豪邸。高給な就職先を見つけたギウは、妹を美術家庭教師に、父を主人の運転手に、母を家政婦にと送り込む。

半地下住宅で暮らすキム一家と高台の豪邸で暮すパク一家、この天国と地獄のような格差社会の有り様に、ポン・ジュノ監督は奇想天外な設定を次々と仕掛けて、化学反応のごとく起爆していく二家族の有り様を、時にはユーモアを交えつつ、スリリングに描き切った。てんこ盛りの展開、バタバタ喜劇に陥りかねない要素を盛り込みながら、疾走感をみなぎらせて怒涛のラストへなだれ込む。舌を巻くような力量だ。 

 この映画の懐の深さは、格差社会を声高に糾弾するのではなく、きちんと現実を描写しながらも、それぞれの人間の血潮や体温を感じ取ることができ、笑いやユーモアをたっぷり含んだ良質な通俗性・娯楽性が絶え間無く全編を流れていることだ。このような描写は韓国社会に住む人々の熱く、豊かな感情表現なくして不可能で、韓国映画の最大の魅力である。

ポン・ジュノ監督の視座の広さ、深さがこの映画を豊かにしている。世界中に拡散する格差社会を描くすぐれた映画は増えてきているが、その中でも格別の衝撃度を持つ映画として記憶されるだろう。

キム一家の長を演じるソン・ガンホをはじめ出演者の演技力と存在感の強さが印象的なことと、美術・録音などのスタッフの実力が結集されているのを実感する。

第72回カンヌ映画祭で韓国映画初のパルム・ドール賞を受賞。 追記・ご参考:ポン・ジュノ監督の映画 「母なる証明」 についての映画評は当hpに2009年にアップされてます。

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