名も無き旅人を人々の胸に刻んだ沢木耕太郎の新作「天路の旅人」

戦前、アジア諸民族の政治的独立と文化復興による大東亜秩序建設を国策とする日本は満州国内の内蒙古に興亜義塾という名の学校を設立し、大陸方面の国策遂行を担う人材の養成に乗り出した。そこで学んだ若者の中に、ラマ教(チベット仏教 … “名も無き旅人を人々の胸に刻んだ沢木耕太郎の新作「天路の旅人」”の続きを読む

映画化が待ち望まれる芸人の原点〈浅草オペラ〉〜『浅草ルンタッタ』(劇団ひとり著)を読んで

お笑い芸人のかたわら作家や映画監督としてもその才能を発揮する劇団ひとりの4作目となる小説である。大正時代に浅草六区で花開いた和洋折衷の大衆芸能〈浅草オペラ〉を題材に当地で時代を生き抜く人々の人間模様が描かれる。〈浅草オペ … “映画化が待ち望まれる芸人の原点〈浅草オペラ〉〜『浅草ルンタッタ』(劇団ひとり著)を読んで”の続きを読む

「人びとのなかの冷戦世界」〜益田 肇

1991年にソビエト連邦が消滅して冷戦は終わりを告げたように見えるが、一体、冷戦とはいかなるものだったのか。大国間同士の駆け引きや政治的リーダーを巡る物語は多く語られてきたが、従来の政治的・外交的な冷戦論に新たな視座を展 … “「人びとのなかの冷戦世界」〜益田 肇”の続きを読む

『インド残酷物語 世界一たくましい民』池亀 彩

インドについては夥しい書が出ているが、そのどれを読んでもインドという巨大な存在の一部しか触れられないというもどかしさを感じてしまう。そのことがインドの魅力なのだろう。インドに行くと、そこに人間が生きている原型を見る思いに … “『インド残酷物語 世界一たくましい民』池亀 彩”の続きを読む

『人新世の「資本論」』〜斎藤幸平 著」=環境破壊、気候変動時代への理論的・実践的な提言

人類の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため、ノーベル化学賞受章者パウル・クルッツェンは、地質学にみて、地球は新たな年代に突入したと言い、それを「人新世」と名付けた。人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくし … “『人新世の「資本論」』〜斎藤幸平 著」=環境破壊、気候変動時代への理論的・実践的な提言”の続きを読む