映画「ゴールデン・リバー」〜極上の西部劇

思いもよらない展開と人間彫琢の深さにおいて極上の西部劇である。 黄金を見分ける化学式を見つけた化学者、一帯を支配する権力者の依頼で、それを奪おうとする殺し屋兄弟と連絡係の4人が中心人物。特にシスターズ・ブラザーズという殺し屋兄弟を軸に予測不能の物語が展開する。 黄金に魅せられた4人は立場を超えて手を結ぶあたりから……続きを読む

映画「新聞記者」〜緊迫のラストシーン

昨今のメディアと権力機構との不可思議な関係を不安な気分で眺めてきたものにとっては、久しぶりに胸の支えがおりた気分にさせられる映画の登場である。海外の映画ではウォーターゲート事件などを暴くジャーナリストの映画など枚挙にいとまがないのにである。東京新聞の望月衣塑子貴社の原作を原案にしている。望月記者は官房長官の記者会……続きを読む

映画「旅のおわり世界のはじまり」〜前田敦子の歌唱、黒沢演出の冴え

世界的に注目を集めている黒沢清監督の新作。黒沢ファンはこれまでのスタイルとはガラリと趣を変えた映像世界に驚くのではないか。 伝説の怪魚を探すためウズベキスタンを訪れたテレビクルーのレポーター葉子(前田敦子)、クルーはカメラマン(加瀬亮)ディレクター(染谷翔太)AD (柄本時生)。1ヶ月にわたるオールロケ撮影の成果……続きを読む

映画「盆唄」〜唄とは、芸能とは

「ナビの恋」「ホテル・ハイビスカス」の中江裕司が3年の歳月をかけて作り上げたドキュメンタリー。2015年、東日本大震災から4年後の福島県双葉町。散り散りに避難先での生活を余儀無くされている人々が先祖代々守り続けてきた伝統の盆唄の復活・継承を目指す姿を目にして、観る者に、人間にとって、唄とは何か、芸能とは何か、故郷……続きを読む

映画「洗骨」〜琉球弧の死生観

洗骨とは、沖縄の離島粟国島に残っている葬制で、一度風葬された死者は、肉がなくなり、骨だけになった頃に、縁深きものたちの手により骨をきれいに洗ってもらい、再度埋葬する風習である。 粟国島に住む新城家が舞台で、長男(筒井道隆)は、母(筒井真理子)の仙骨のために4年ぶりに戻ってきた。実家には父(奥田瑛二)が一人で住んで……続きを読む