最新トピックス

アメリカ人日本文学研究者の価値ある試み〜「井上陽水英訳詞集」(ロバート・キャンベル)

本書には題名の通り井上陽水の歌詞50編の英語対訳が収められている。アメリカ出身の筆者はハーバード大学大学院で日本文学を研究したあと1985年に来日し、30年以上日本の大学で教鞭をとった。近年はテレビやラジオでも活躍していて、その親しみやすく優しい語り口から好感を持つ人も多いことだろう。本書は英訳そのものの味わいもさるこ……続きを読む

映画「世界の涯ての鼓動」〜原理的な問いと痛切なメッセージ

「パリ、テキサス」でロードムービーの最高の地平を切り開き、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」で、ライ・クーダーとともに、キューバ音楽の古老たちの魂溢れる境地を記録しドキュメンタリー映画にも巨大な貢献を重ねてき、幾多の名作を生んできた真の巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の最新作。 「パリ、テキサス」が荒野の果てに何がある……続きを読む

映画「天気の子」〜生の実感を掴み取る

前作「君の名は」から3年、期待される中での登場は作者にとっても相当のプレッシャーだったろうが、伸びやかで、奔放なイメージの飛躍は相変わらず切れ味よく飛翔し、新海世界の新たな地平を拓く代表作となった。 高一の夏、離島から飛び出してきた帆高。生活は困窮し、孤独な日々は続く。心象風景のように東京は連日、雨つづき。そんな……続きを読む

日本社会の岩盤に突き刺さる〜「敗戦後論」加藤典洋 著(ちくま学芸文庫)

『戦後の日本人は、なぜ先の大戦の死者をうまく弔えないのか。なにゆえ今も、アジアへの謝罪をきちんと済ませられないのか。なぜ私たちは、占領軍に押しつけられた憲法を「よい憲法」だと感じるのか。このような敗戦の「ねじれ」の前に、いま、立ちどまろう。そうでなければけっしてその先には行けないーー。』(「敗戦後論」カヴァー裏表……続きを読む

映画「ゴールデン・リバー」〜極上の西部劇

思いもよらない展開と人間彫琢の深さにおいて極上の西部劇である。 黄金を見分ける化学式を見つけた化学者、一帯を支配する権力者の依頼で、それを奪おうとする殺し屋兄弟と連絡係の4人が中心人物。特にシスターズ・ブラザーズという殺し屋兄弟を軸に予測不能の物語が展開する。 黄金に魅せられた4人は立場を超えて手を結ぶあたりから……続きを読む