ロマ・コミュニティー向けのメールグループ《ジェレム・ジェレム便り①》

■2008.9.14  ロマ・コミュニティー向けのメールグループ《ジェレム・ジェレム便り①》 EUロマ・サミット開催
○この9月16日、ベルギーのブリュッセルでEU(欧州連合)欧州委員会が主催する初めてのロマ・サミット(会議)が開催される。EU関係部局や各国政府、市民団体から400名を超える代表者が一堂に会しEU内のロマ・コミュニティーがおかれている現状を確認しつつ、いわゆるロマ問題(根強い差別とステレオタイプ、そしてそれらに起因する様々な社会問題)解決のための具体的な政策を討議するという。
チェコやルーマニアなど東欧諸国へと加盟国を拡大させてきたEU域内には今日約1200万人のロマの人々が暮らし、最も大きなマイノリティー集団のひとつに数えられるようになった。ロマ問題は各国に共通する要素が多く、今まさに国の垣根を越えて解決しなければならない重要かつ深刻な社会テーマなのである。
日本のメディアではほとんど取り上げられることのないロマの今の状況について、ヨーロッパでは日常的に様々なニュースが報じられている。わたしが参加している世界のロマ・コミュニティー向けのメールグループ《ジェレム・ジェレム》に投稿される記事はこうした日々の動きや世界中のロマの動向を伝えていて興味深い。くだんのロマ・サミットのこともこのメールグループの記事で知った。ただし、あくまでも回覧機能がメインであるためひとつひとつの話題について詳しい背景が語られるわけではなく、ネット検索などを利用して必要に応じて知りえた情報を補強しなければならない。ロマ・サミットに関していえば、EUのポータルサイト内に掲載されているプレスリリースが詳しく会議の内容と経緯を伝えている。
今回の会議に出席する欧州議会のロマ出身議員Livia Jarokaさん(ハンガリー市民連盟、ヨーロッパ人民党・民主グループ所属)はヨーロッパのニュースサイトの取材に対して「ある調査によるとヨーロッパ人の70~80%はロマに対して反感を抱いている」といい、「このことが最大の問題だ」と述べている。学校における隔離教室や雇用差別、居住地のインフラ未整備など具体的な問題の根源にあるのは、こうした人々の感情にあるという指摘である。(ちなみに欧州議会議員785名中、ロマ系議員はJaroka氏を含め2名が在任中)ロマの人々がヨーロッパに住むようになって約500年。長い歴史の中で蓄積されてきた根深い問題にEUとしてどのように取り組むのか。単なる政治ショーに終わらせることはよもやないと思うが、その具体的な施策に注目していきたい。(今後もメールグループ《ジェレム・ジェレム》の記事の中から「これは」という話題を取り上げて報告していきます。)
(市橋雄二)

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