イタリアの今、2011初冬~ボローニャ雑感

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11月下旬の1週間ほどイタリアのボローニャ周辺を回った。ボローニャに滞在しながら、ちょくちょく周辺の町へ出かける旅だった。

映画に関心があるものには、ボローニャは映像の保存と修復の施設「チネテカ」のある町としても有名だ。ピエル・パオロ・パゾリーニの生まれた町でもある。パゾリーニは日本では映画監督として名高いが、イタリアでは、その死にさいして親友であったモラヴィアが「今世紀後半にイタリア語で書いた最大の詩人」と評したほど詩人として名高い存在である。その詩集を日本語ではじめて翻訳した四方田犬彦氏が、研究のため滞在したのがボローニャである。

よく知られるように世界最初の大学であるボローニャ大学があり、パゾリーニもここの学生であった。古都であり、イタリア共産党の根拠地でもあり、質の高い工業都市でもある。文化的にも豊穣な土壌を持つ。

このようにイタリアでも質の高い都市基盤をもつボローニャで、最近のユーロ圏の金融危機がどの程度垣間見えるのかーーー単なる旅人にどのように写るのか。

長年にわたって蓄積されてきたインフラ資本はさすがに分厚く、その重厚な歴史的遺産をはじめとして町の景観は絵画的ですらある。そして学生の町であるせいか、若者の姿が多く、華やかで、活気に満ちているところが他の多くの古都と違った様相を呈している。

それでも名物のアーケード(ポルティコ)の壁や柱には落書きが多く、ちょっとすさんだ感じも漂う。街頭のデモにも数回出合った。これらの光景は経済的宿弊の表れなのだろうか。

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眼にしたテレビジョンは新しい首相の動向を追い、ドイツやフランスの首脳たちの動向に神経を尖らせている内容が多いようだ。折りしもクリスマスシーズンに入り、町にはアシネッリ塔などのライトアップがはじまり、表面上は華やかな街中の飾りつけが目立つのである。

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