ブルガリア、マケドニア、セルビアにおいては聖ゲオルギウスの日として祝われるこの祭りは、ロマの間ではエデルレズィ(Ederlezi)と呼ばれ、5月6日(春分の日からおよそ40日後)に行われる。ヘルデリェズやエデルレズィという呼び名は、同じ日に祝うトルコの春祭りフドゥレッレズ(Hidrellez/トルコ語での綴りはiの点がつかない文字)に由来する。
このニュースに関連して、この5月4日(土)にはアメリカ・カリフォルニア州オークランドで、カリフォルニア・ヘルデリェズ祭りが行われた。非営利団体Voice of Romaが主催するもので、今年で17回目となる。マケドニアのブラスバンド、コチャニ・オーケスターをはじめ、サンフランシスコで活動するガルベノ・バンド、インスペクター・ガジェがライブを行ったほか、オレゴン大学の文化人類学教授キャロル・シルバーマンが参加しての「ロマ音楽のグローバリゼーション」と題したパネルディスカッションやダンス・ワークショップ、コソボ・ロマをテーマにした写真展も開催され、ハンガリー生まれのロマで、サンフランシスコでレストランを経営していた女性がロマの伝統料理を振る舞った。
(訳者コメント)ロマの間で伝承されていた「エデルレズィ」という歌があり、エミール・クストリッツァ監督の映画「ジプシーのとき」(1989年/日本公開は1991年)で音楽監督のゴラン・ブレゴヴィッチのアレンジによりテーマ音楽に採用されていることを、今回のニュースの背景を調べていて初めて知った。岩波ホールで映画を観たときには、まったく気に留めることはなかったのだが、当時の映画パンフレットを改めて見てみると、サラエヴォ出身で日本で活躍する歌手ヤドランカさんが「ジプシーの祭りエデレジ」という題で、映画との関わりや思いを綴っている。この祭りや歌とロマの人々との深いつながりが伝わってくる。
(市橋雄二/2013.5.26)