映画「世界の涯ての鼓動」〜原理的な問いと痛切なメッセージ

「パリ、テキサス」でロードムービーの最高の地平を切り開き、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」で、ライ・クーダーとともに、キューバ音楽の古老たちの魂溢れる境地を記録しドキュメンタリー映画にも巨大な貢献を重ねてき、幾多の名作を生んできた真の巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の最新作。 「パリ、テキサス」が荒野の果てに何がある……続きを読む

映画「天気の子」〜生の実感を掴み取る

前作「君の名は」から3年、期待される中での登場は作者にとっても相当のプレッシャーだったろうが、伸びやかで、奔放なイメージの飛躍は相変わらず切れ味よく飛翔し、新海世界の新たな地平を拓く代表作となった。 高一の夏、離島から飛び出してきた帆高。生活は困窮し、孤独な日々は続く。心象風景のように東京は連日、雨つづき。そんな……続きを読む

映画「ゴールデン・リバー」〜極上の西部劇

思いもよらない展開と人間彫琢の深さにおいて極上の西部劇である。 黄金を見分ける化学式を見つけた化学者、一帯を支配する権力者の依頼で、それを奪おうとする殺し屋兄弟と連絡係の4人が中心人物。特にシスターズ・ブラザーズという殺し屋兄弟を軸に予測不能の物語が展開する。 黄金に魅せられた4人は立場を超えて手を結ぶあたりから……続きを読む

映画「新聞記者」〜緊迫のラストシーン

昨今のメディアと権力機構との不可思議な関係を不安な気分で眺めてきたものにとっては、久しぶりに胸の支えがおりた気分にさせられる映画の登場である。海外の映画ではウォーターゲート事件などを暴くジャーナリストの映画など枚挙にいとまがないのにである。東京新聞の望月衣塑子貴社の原作を原案にしている。望月記者は官房長官の記者会……続きを読む

映画「旅のおわり世界のはじまり」〜前田敦子の歌唱、黒沢演出の冴え

世界的に注目を集めている黒沢清監督の新作。黒沢ファンはこれまでのスタイルとはガラリと趣を変えた映像世界に驚くのではないか。 伝説の怪魚を探すためウズベキスタンを訪れたテレビクルーのレポーター葉子(前田敦子)、クルーはカメラマン(加瀬亮)ディレクター(染谷翔太)AD (柄本時生)。1ヶ月にわたるオールロケ撮影の成果……続きを読む