世の中を見る目を鍛える〜映画「i −新聞記者ドキュメント−」の言論空間

今年6月に公開された映画「新聞記者」(監督:藤井道人)は、政権中枢で行われているとされる情報操作の裏側を描く問題作で大きな反響を呼んだ。筆者の周りでもこの映画を見て購読する新聞を変えたという人がいるくらいで、長期化する自民党安倍政権下のただならぬ社会の空気に危うさを感じている人々が多いということだろう。本作は官房長官……続きを読む

記録映画「草間彌生∞INFINITY」〜内的衝動の噴出力

草間彌生の作品には巨大な絵画、彫刻、パフォーマンスなど多岐に渡り、水玉と網模様で覆われた作品やかぼちゃなどなど独自の世界観を持っている。  この世界的に注目されている前衛芸術家の半生を通して表現とは何か、美とは何か、など根源的な問いかけに迫られるドキュメンタリー映画である。  1957年に渡米し、日本人と……続きを読む

映画「世界の涯ての鼓動」〜原理的な問いと痛切なメッセージ

「パリ、テキサス」でロードムービーの最高の地平を切り開き、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」で、ライ・クーダーとともに、キューバ音楽の古老たちの魂溢れる境地を記録しドキュメンタリー映画にも巨大な貢献を重ねてき、幾多の名作を生んできた真の巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の最新作。 「パリ、テキサス」が荒野の果てに何がある……続きを読む

映画「天気の子」〜生の実感を掴み取る

前作「君の名は」から3年、期待される中での登場は作者にとっても相当のプレッシャーだったろうが、伸びやかで、奔放なイメージの飛躍は相変わらず切れ味よく飛翔し、新海世界の新たな地平を拓く代表作となった。 高一の夏、離島から飛び出してきた帆高。生活は困窮し、孤独な日々は続く。心象風景のように東京は連日、雨つづき。そんな……続きを読む

映画「ゴールデン・リバー」〜極上の西部劇

思いもよらない展開と人間彫琢の深さにおいて極上の西部劇である。 黄金を見分ける化学式を見つけた化学者、一帯を支配する権力者の依頼で、それを奪おうとする殺し屋兄弟と連絡係の4人が中心人物。特にシスターズ・ブラザーズという殺し屋兄弟を軸に予測不能の物語が展開する。 黄金に魅せられた4人は立場を超えて手を結ぶあたりから……続きを読む