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1990年代に55の中国少数民族の芸能をビデオで記録する仕事をしていた。そのときに一番心残りだったことは、独龍(トールン)族の居住地に入れなかったことだった。怒(ヌー)江にトールン江が合流する地点の町、貢山まではなんとか行けたのだが、そこから更に100キロトールン江を遡り、ミャンマー国境地帯に居住するトールン族の村には、雪解けによる山道の崩落の危険性により断念したのだった。代わりにトールン族が開拓地として移住していた小査拉村を取材したわけである。以来20年が過ぎ取材当時からのスタッフ、唐大堤さんと一緒にトールン江奥地に入ることになった。20年間の間に、3〜4千メートルの山々に通じる山道は舗装も進み、新たなトンネルも一応貫通したばかりのようだ。幸運にも恵まれ、行きは順調にいったのだが、帰路は山崩れなどに遭遇して危険な目にも会った。
訪ねたトールンの里は中国の経済的発展と開発の波をまともに受けており、隔世の感が深かった。
■独龍江最深部に入る〜雲南省西北部2014・6