ジプシー学会はロマ研究に関心のある人々の国際的な集まりで、1888年に英国で設立された世界でもっとも歴史のあるジプシー研究の学術団体である。1989年からは米国に事務局を置き、ロマ研究の発展のほかロマの生活、歴史、言語、文化そして多様性の理解を促進するための適切な情報の発信、研究者間の緊密な連携の確立を目的として活動している。年次大会は毎年世界各地の著名な学者や研究機関の協力によりおこなわれている。
レスター(英国、1991)、ケンブリッジ(米国、1992)、ワシントンD.C.(米国、1993)、ロサンゼルス(米国、1994)、ライデン(オランダ、1995)、ニューヨーク(米国、1996)、ボストン(米国、1997)、アーリントン(米国、1998)、フィレンツェ(イタリア、1999)、ワシントンD.C.(米国、2000)、ニューヨーク(米国、2001)ブダペスト(ハンガリー、2002)、アナーバー(米国、2003)、ニューカッスル・アポン・タイン(英国、2004)、グラナダ(スペイン、2005)、ツーソン(米国、2006)、マンチェスター(英国、2007)、ワシントンD.C.(米国、2008)、ヘルシンキ(フィンランド、2009)、リスボン(ポルトガル、2010)、グラーツ(オーストリア、2011)、イスタンブール(トルコ、2012)、グラスゴー(英国、2013)、ブラチスラヴァ(スロバキア、2014)。
現在の会長はブルガリア科学アカデミー博物館民族誌研究所のエレナ・マルシアコヴァ博士が務めている。
学会の公式サイトに、1888年から1999年までの学会誌(”Journal of the Gypsy Lore Society”)の全文がデジタルライブラリー上で閲覧可能になったとの最近のニュースが掲載されていた。実際に見てみると日本の国立国会図書館がおこなっているデジタルコレクションと同じく現物の各ページを画像データとしてデジタル化したもので、ジプシー研究の100年以上にわたる歴史にいとも簡単に触れることができる。いながらにして知の集積にアクセスできるデジタル時代の恩恵に浴しながらそれをどう活用するかが問われる。
(市橋雄二/2014.10.28)