「4月8日はロマの文化と伝統を祝う日であり、また、ロマの人々が社会の中で正当な居場所を得んがために奮闘していることを広く知らしめるための日でもある。われわれは世界中のロマの決意と忍耐に敬意を表する。インド国際協力協議会は<世界ロマの日>のイブに当たる4月7日、ニューデリーでいくつかの行事を開催した。学術的な会議では政府と非政府団体がインドとロマ社会の間の文化的な絆を強める方法を議論し、ロマの先祖がラージャスターンから移動を始めて1千年が経つことを記念して、2017年同州チットールガルにおいて<世界ロマ文化フェスティバル>を開催することを決めた。
この会議にはインド文化関係協議会(ICCR)とインド国際協力協議会のメンバー、ロマの研究者、外交官、知識人などが参加した。
また、夕方には<世界ロマの日>を祝う一般向けのプログラムが行われ、著名なロマ研究者らがロマのインドからの移民の歴史と各国での現状、そして未来について講演を行った。インド国際協力協議会は毎年ニューデリーで<世界ロマの日>を祝ってきているが、今年は2月にニューデリー、ジャイプル、メーラトの3か所で<国際ロマ会議と文化フェスティバル>をICCRと共催し、15の国から45名のロマ研究者が集まった。
ニューデリーの会議では元外務大臣スシュマ・スワラージ女史が開会の辞を述べ、ロマの人々への惜しみない支援を表明した。会議の終了後も、協議会のメンバーによる各国のロマ・コミュニティー訪問、スロベニアとブルガリアでの国際ロマ会議への参加と活動を継続している。
今年の4月8日はヒンドゥー暦2073年の元旦にあたるといううれしい巡り合わせもあった。この日は様々な呼び名でインド各地で祝われ、幸先の良い日とされる。すべてのひとびとにとって平和で恵み多き一年になりますよう。」
以上がプレスの概要である。背景にはヒンドゥー至上主義を掲げるインド人民党のモディ政権の意向を反映した政治的な動機が垣間見えるので注意が必要だが、ロマ社会とインドの関係が近づくことで、これまでヨーロッパの視点で語られてきたロマ(ジプシー)像に新たな視点がもたらされるとするならば歓迎すべきことである。
(市橋雄二/2016.4.30)