「宝島」真藤順丈著(第160回直木賞)〜突き抜けた感性・語り口の歌謡性

沖縄の1952年から1972年の20年にわたる起伏に満ちた時代、それは終戦直後に始まる米軍統治時代から日本復帰までの激動の沖縄の現代史だ。沖縄の青年、男女が生き抜いてきた、あまりにも苛酷で、痛切な思いに満ちた青春群像叙事詩である。 遠くから聞こえてくるエイサーの音色とともに島の英雄であり、戦果アギャーと呼ばれるオ……続きを読む

芸能者の栄光の極みを見た〜映画「私は、マリア・カラス」

リヒテル、オイストラフ、ビルギット・二ルソンなどなど世界的なアーチストの生のステージに接したときに強く脳裏に刻まれたのは、観衆の熱狂の渦の中、ステージ上で拍手を浴びながら優雅な返礼を繰り返す姿に、芸術家の栄光の瞬間がここにあるということだった。この瞬間を迎えるために芸術家・芸能者は生きているのだ。  「私は、マリ……続きを読む

「新復興論」〜小松理虔著(ゲンロン社刊)〜福島の現実を超える突破力!

2011・3・11の東日本大震災は日本歴史上だけではなく、世界史的・地球規模的にみても、未曾有の災害であった。地震による揺れと津波、そして原子力施設の爆破破壊という自然災害と人災が複雑に入り組んだ複合的で巨大な災害だった。その影響は今だに東北各地の人々、避難を余儀無くされた地方自治体、そこに生活の根拠を持って生き……続きを読む