「郷土中国」〜費孝通(フェイ・シャオトン) / 西澤治彦訳

費孝通(フェイ・シャオトン)(1910-2005)は中国の代表的な社会学者であり、人類学者である。その多くの研究業績は中国社会科学の貴重な学術的財産である。家族・男女・血縁・地縁への分析から国家・社会の本質を考察し、中国 … “「郷土中国」〜費孝通(フェイ・シャオトン) / 西澤治彦訳”の続きを読む

「心淋し川(うらさびしがわ)」西條奈加〜 江戸、市井の人の息吹と哀感

読み終わった直後よりも、日にちが経つほどに各篇の登場人物の面影や佇まいの様が浮き上がり、江戸庶民の哀感に思いを馳せてしまう深い味わいを湛えた連作短編集だ。 江戸時代、千駄木町の一角にある心町(うらまち)の古びた長屋にすむ … “「心淋し川(うらさびしがわ)」西條奈加〜 江戸、市井の人の息吹と哀感”の続きを読む

「浪花節で生きてみる!」〜玉川奈々福

一時は滅びかけ感が強かった浪曲・浪花節に光を当て、新たな命を与えながら、自らも浪曲師として精進してきた道程を綴った一種の日本芸能論であり、浪花節論であり、芸道修業話でもある。専門的な楽屋話にならないで、伸びやかな筆致も鮮 … “「浪花節で生きてみる!」〜玉川奈々福”の続きを読む

「ペスト」 アルベール・カミュ

1940年代のアルジェリアの港町オランに起こったペストの蔓延。封鎖された都市の人々の日常そしてペストとの不条理な戦いに挑んだ人々を記録という形をとりながら、人間存在の在り方という究極の問いにまで想いを至らしめる小説だ。 … “「ペスト」 アルベール・カミュ”の続きを読む

「武漢封城日記」 郭晶 著 地を這う視線の記録が尊い

武漢は華中地域、長江中流全域の中心都市。1949年、政治の中心・武昌(東部)、工業の中心・漢陽(西部)、商業の中心・漢口(北部)が統合されて武漢市が成立した。中国内陸部最大の交通中枢都市であり、人口は860万の大都会であ … “「武漢封城日記」 郭晶 著 地を這う視線の記録が尊い”の続きを読む