映画『湾生回家』を見て

 戦前の台湾で生まれ育った日本人を「湾生(ワンセイ)」というらしい。初めて聞く言葉である。湾生たちは敗戦によってそれまでの生活が突然断たれ軍人、軍属らとともに日本本土に強制送還された。その数約20万。老境に入った彼らが今 … “映画『湾生回家』を見て”の続きを読む

映画「この世界の片隅に」〜日常の儚さと愛おしさ

第2次世界大戦中、軍港として栄えた広島呉市が舞台。戦艦「大和」の母港でもある。 18歳のすずさんに縁談がもちあがり、1944年、広島市から呉に嫁ぎ、海軍勤務の北条周作の妻になる。のんびりでおっとりした性格のすずさんは絵を … “映画「この世界の片隅に」〜日常の儚さと愛おしさ”の続きを読む

コロンビア映画「彷徨える河」〜アマゾン・アニミズムの品性の輝き

この映画は特別で、新鮮な驚きを我々に与える稀に見る異色作だ。それは近代文明に浸っている我々に根源的な問いを突きつける衝撃度を秘めた映画である。グローバリズム、近代合理主義、シャーマニズム、アニミズム、神話、口承伝承などな … “コロンビア映画「彷徨える河」〜アマゾン・アニミズムの品性の輝き”の続きを読む

音楽家の危機〜映画『ソング・オブ・ラホール』が問いかけるもの

 人間味あふれる中年のローカル・ミュージシャンたちが一念発起してニューヨーク公演を成功させるまでのドキュメンタリー映画である。 親と子、土着と洗練、緊張と解放など様々な対照が画面に映し出され、観客を心地よく揺さぶってくれ … “音楽家の危機〜映画『ソング・オブ・ラホール』が問いかけるもの”の続きを読む

映画「ソング・オブ・ラホール」〜今に生きる音楽目指し、ジャズと融合  

パキスタン東部ラホールに生まれた「サッチャル・ジャズ・アンサンブル」という音楽集団の思いや苦悩をドキュメントした記録である。 1980年代の軍事独裁下で歌や映画などの芸術・芸能活動への締め付けが強まり、00年代に入ると「 … “映画「ソング・オブ・ラホール」〜今に生きる音楽目指し、ジャズと融合  ”の続きを読む