「イスラーム国の衝撃」(池内 恵著)〜明快で、示唆に富む分析

「イスラーム国」という現象に現在、最も肉薄した書と言えるだろう。それほどタイムリーでありながら、問題の核心を抽出した論点の明晰さは驚くほどの精妙さに溢れている。急遽、出版されたにもかかわらず、著者の学問的な蓄積の豊かさが … “「イスラーム国の衝撃」(池内 恵著)〜明快で、示唆に富む分析”の続きを読む

『農山村は消滅しない』(小田切徳美著)〜血の通った提言

遠からず、日本列島から、かなりの市町村が消滅するという、いわゆる「増田レポート」が出されてから、その衝撃波は列島各地に及んでいるらしい。『中央公論』などで「消滅可能都市896」と題された特集では896の市町村名が明示され … “『農山村は消滅しない』(小田切徳美著)〜血の通った提言”の続きを読む

「ミレニアム」以来の衝撃〜犯罪小説「その女アレックス」(ピエール・ルメートル著)

この小説は単なるミステリーの枠を超えており、ミステリーの常道に対する人々の固定観念が次々と覆される革新的な味わいに満ちた犯罪小説である。2011年にフランスで発表されるや否やリーブル・ド・ポッシュ読者大賞ミステリ部門(2 … “「ミレニアム」以来の衝撃〜犯罪小説「その女アレックス」(ピエール・ルメートル著)”の続きを読む

迫りくる漂泊遊行の魂:小沢昭一:写真集 昭和の肖像〈芸〉

昨年末に発刊された小沢昭一の写真集「 昭和の肖像〈町〉」に続いて2月6日から「 昭和の肖像〈芸〉」が刊行された。これで2巻そろっての「昭和の肖像」の簡潔ということになる。 今回の「芸」篇には「昭和の芸人たちー路上の商い、 … “迫りくる漂泊遊行の魂:小沢昭一:写真集 昭和の肖像〈芸〉”の続きを読む

小説の醍醐味満点:乙川優三郎「脊梁(せきりょう)山脈」

敗戦から15年間の日本の復興期に生きた青年が国家や社会、家族そして人間の希望などについて考え、悩み、行動する青春小説だが、今の我々にも通じる重いテーマが語られており、深くうなずき、しみじみと来し方を思い返してしまう作品だ … “小説の醍醐味満点:乙川優三郎「脊梁(せきりょう)山脈」”の続きを読む