「京都ぎらい」井上章一著〜度胸のある、辛い京都論

まずタイトルが秀逸である。思わず本を手に取ってしまうインパクトがある。京都には数えきれないくらい行っているが、なんとなく感じていた謎を少し解明できたような気がする。それは、京都人と接する時に感じていた、薄いヴェール越しの … “「京都ぎらい」井上章一著〜度胸のある、辛い京都論”の続きを読む

忘れがたき名演・名人たちの熱き思い出〜「舞台の記憶」矢野誠一著

若き日々の青春日記の側面もあり、読みながら己の若き時代を反芻せざるをえない好著である。演劇・演芸評論家、エッセイスト、矢野誠一の近著である「舞台の記憶」(岩波書店)の70年に及ぶ観劇記録の圧倒的なヴォリューム感に驚き、ひ … “忘れがたき名演・名人たちの熱き思い出〜「舞台の記憶」矢野誠一著”の続きを読む

実像に迫る柳田国男論〜「遊動論 柳田国男と山人」柄谷行人

刺激に満ちた柳田国男論である。著者は40年前に柳田国男論を雑誌に連載しながら、本にはしなかった。しかし、東日本大震災で多くの死者が出たことで、気持ちに変化が現れたという。 遊動民(ノマド)には遊動的狩猟採集民と遊牧民に分 … “実像に迫る柳田国男論〜「遊動論 柳田国男と山人」柄谷行人”の続きを読む

直木賞「流」:東山彰良〜台湾人の息遣いと郷愁

視野が柔軟で、懐が深い小説で日本にはなかなか現れない類いのスケール感を湛えた傑作だ 台湾を中心として中国本土から日本までを含めた現代東アジア史を俯瞰しながら台湾に生きる一家の歴史を描きつつ、主人公(葉秋生)の愛と青春の日 … “直木賞「流」:東山彰良〜台湾人の息遣いと郷愁”の続きを読む

『はじめての福島学〜開沼 博』〜俗流フクシマ論を越えて

  年が明けてから福島のいわき市、広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町,浪江町そして南相馬市などを車で回ってきた。テレビ報道などで激変した富岡などの町並みの様相は見ていたが、やはりカメラの眼、視野の範囲内の限定され、一 … “『はじめての福島学〜開沼 博』〜俗流フクシマ論を越えて”の続きを読む